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坂の上から

晴れの日が多かった。


さすような日差しとアスファルトの照り返しはじりじりと肌を焼いて
頬を伝って流れ落ちる汗は時に鞄に当たって跳ねた。
日焼け止めの混ざった汗は目に入ると痛い。
眉間にしわを寄せて
ただ足元だけを見つめ
茹だるよな暑さの中自転車を押した。
















私の実家は小高い丘の上にあって 市街地が一望出来る。


春は緑の萌えと 桜のほのかなピンクに染まり
夏はその色の深みが増す。

自転車通学だった私は自転車を押して帰らねばならず
特に夏の日差しはきつく
次の一歩で倒れてしまうのではないかと 何度思ったことだろう。

私の母は小樽市出身で
父は大阪の美濃出身で
その二人の選んだ土地だ。こんな坂なのも仕様がない。

毎日毎日うんざりするほど自転車を押して
えっちらおっちら坂を上り
絶対こんなところ出て行ってやるんだとかたく心に決めていた。








あの頃はずっとそう思っていたんだけどね。
最近、無性にあの景色が恋しくなる。

坂の上から振り返ると 

下には田んぼと川と
離れたところにビル群が見えて
都会なんかでは決してないけれど 田舎でもなくて
それなのに実家の近くでは狸が出たり キジの鳴き声が聞こえたり
ずっと遠くにうっすらと浮き上がって見える山の端
そこにかかる雲
夏の花火
国道を走る車のライト

私を落ち着かせる色が 音が においが 風が
そこにはあった。









最近大学で勉強するのには自室だと捗らないからというのもあるけれど
それだけではなくて。
構内の木に止まる蝉や 鈴虫や 鳥の鳴き声がしたから。
実家の勉強部屋と同じような風が吹くから。





これは遺伝子なのか
やっぱり毎日坂を上り下りしていたせいなのか
私は坂のある風景をみるとほっとする。

思わず駆け上りたくなる。
上りきったところから見えるものが楽しみで。
何が広がっている?









故郷というのは離れてみてその良さがよくわかるものですね。
 














  来週、実家に戻るので ね。

              うちのメルにょんは元気にしているかな。             
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by 2pinoko | 2005-09-10 01:42 | つらつら。