バカの吉田


よく行くお店 ギネスを楽しみに 

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そういえば、飲みに行くことが本当に増えたなぁと。



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情動的・短絡的
根気がなく短気
変に格好つけたがり
ちょっと悪ぶってみるけれど「不良」にもなりきれず
虚勢を張ることで自己を保とうとする
それでも小さな妹たちにはやさしいおにいちゃん
これが、バカの吉田。
私は親しみをこめて彼をそう呼んだ。

吉田は小・中学校の同級生だ。



吉田は面白いことが大好きだ。
吉田は勉強が大嫌いだ。
彼はよく先生に怒られて涙目になっていた。
「どうしてもっとうまくやらないかなぁ、あんなことすればバレて怒られるのが目に見えているのに。」
一方当時のぴのこ少女は冷めた目で遠巻きに吉田を見る、どうも可愛くない子供だった。

しかし、どういうわけか吉田は私によく懐いていた。
懐いていた、なんてまるで犬か猫のようだが、つぶらな瞳で本当に、本当に、本当にどうでもいいことを私にいちいち報告しにくる吉田は、無邪気な(そして私にとっては面倒くさい)図体のでかい小動物、といったところであった。
(後に、俺あの頃ぴのこさんのこと好きだったんだよね、と告白されて、大笑いしてしまった。今思うと大変失礼なことをしたと思う。。。。)

中学3年生で吉田とクラスが一緒になった。
修学旅行の班も一緒。
班長の私は彼の自由奔放な行動の監視役といったところで
ちょっと、時間に遅れるでしょ!?早く早く!!ダメ、そこ入っちゃ、こっちだってば。
と文句ばかりだったのを覚えている。

秋になったころだったか、吉田とクラスメイトもう一人が真剣な顔で私の席までやってきてこう言った。
「俺ら、高校行きたいんだ、受からせて。」


このクラスの2大バカにまさか自分が勉強を教えることになろうとは思わなかった。
人に教えるのは嫌いではない、が、これは本当に骨の折れる作業だった。
まず、吉田は複数形のsと三人称単数現在形のsの違いを分かっていなかった。
因数分解を教えようにも、二乗の計算ができない状態であった。
学力的な問題はいい。
やればできる、今までやってこなかったからわからないだけなのだ。
問題は、彼らに集中力がないということ。
脱線しそうになると、私はよく教科書で頭を叩いていた、こらきけ!受かりたいんでしょ!?とね。

そんな甲斐あってかどうかは実際のところわからないが吉田は公立高校になんとか合格したのである。




これでめでたし、とういわけにはいかなかったのが、吉田らしいというか当に吉田というか。
せっかく受かった高校を、3ヶ月で中退したのだと風の噂で聞いた。
全く何のために勉強を教えたのか。まったく。
それきり吉田の噂は聞かなかったが、それが彼が元気でやっている証拠だと思っていた。


高校2年生のある日、突然家に吉田から電話がかかってきた。
(当時私は携帯電話なんてもっていなかったので)
突然何かと思えば何ともびっくりな相談であった。
吉田君、高校中退後県外へ出て就職、結婚、子供もできた。
しかしその子供の血液型を考えると、どうも自分の子供じゃない気がする、というのだ。
17歳の私にはこれまたショッキングな内容で
それは彼にとっても同じことで、俺、みのさんの番組に出られそう、と苦笑いしていたっけ。

それからというもの数か月に1度、吉田から電話がかかってくるようになった。
相談、というよりは、教えて!という内容が多い。

「俺、通信で高校卒業の資格取ろうと思って。」
「お、偉いね。がんばって。」
「でさ、課題わからないんだけれど~~~~~を説明せよ、だって。」
「ああ、それはね、~~~~~~だからだよ。」
「もう一回、ゆっくり。」
「ねえ、まる写しじゃなくてちょっとは自分で考えたら。」

「あのさ、英単語なんだけれど、○○○○の意味ってなに?」
「は!?そんなの自分で調べなよ。」
「わかんないからぴのこさんに電話してんじゃん。」
「辞書買え!」 

「あのさ、もうすぐ卒業できるかも知れない。」
「おお!じゃあ頑張って。」
「だから課題やって。」
「・・・・・切るよ?」





数ヶ月前にメールが来た。
高校の卒業証書の画像が添付してあった。










今でも相変らず吉田からの連絡はあって
ここ数年は風邪ひいたらどうしたらいいだの、白血球が増えたから白血病かな!?だの
そんなのばかり。
電話を切る時はまったく、と思うのだけれど
元気な声を聞くと私も安心するのである。


たぶん、そろそろ、バカの吉田から電話がかかってくる時期だ。
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by 2pinoko | 2008-06-03 18:26 | つらつら。
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