海よりも深い



こんな経験、ないだろうか。







重い。
鎖がまとわりつく。
押さえつけられるは後頭、胸郭
体躯がベッドに沈み込む。
重くのしかかってくる、打寄せては波紋をつくり
表皮を、肉を、骨までも、根こそぎ体躯から奪い去っていく。
血の気が引く。

ごうう ごうう ごうう

どこから音がするのか。
身動きが取れぬ。
聞こえてくるのは押し寄せる波の音。
違う、これは私の鼓動。
この世に生を受けてから一度たりとも休むことなく
RA,RV 酸素濃度を増してLA,LV
時速216kmの速さで
めぐる めぐる 震わせる。
震える胸壁
伝わる振動
指先まで 髪の先まで

反復するdizziness
声が出ない
変動するGの中をひたすら耐える。
螺旋系のスロープを勢いよく滑り落ちていく。
遠心力?
中心にあるのは何?
蝸牛は世界と私の平衡を保とうとするのに
何が狂っているのだろう。
私か それとも 外界か 
私の内部なのか。

苦しい。








幼少の頃から何度となく繰り返された、うねり。
こんなとき、私の身体は私のものではない。
やり過ごす方法は3つの頃も、今も、同じ。
この変動が、私そのものを震わすこの変動が過ぎ去っていくのを
私はただただ、待つ。じっとして。身動きもせず。








帰りたい、と、初めて電話をした。
帰りたい、といった私の家には
私の生活空間はすでに無く
いつでも所在無い日々を過ごすのに
それでも帰りたいと思った。
初めて、口にした。

母はやっぱり母だった。
何も言わない私がなぜ帰りたいと言ったのか
全てわかっているようだった。

海よりも深い












こんな経験、ないだろうか。
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by 2pinoko | 2007-06-05 01:35 | つらつら。
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