朝のリレー


この景色を 忘れないでおこうと 思った。
こういう朝を 楽しもうと 思った。

また明日。
待つ楽しみ。

待つって嫌いじゃない。
待っている間 考える。
想像する。
思いをめぐらす。
そんな時間が 大切だったりする。








カムチャッカの若者が   キリンの夢を見てるとき

メキシコの娘は   朝もやの中で バスを待っている

ニューヨークの少女が   微笑みながら 寝返りをうつとき

ローマの少女は   柱頭を染める 朝陽にウインクする

この地球は   いつも何処かで 朝が始まっている



僕らは朝をリレーするのだ



経度から 経度へと

そうして いわば 交替で 地球を守る


眠る前のひととき 耳をすますと

どこか遠くで 目覚まし時計の ベルが鳴っている

それは 貴方が送った朝を

誰かが しっかりと 受け止めた証拠なのだ



           『谷川俊太郎  朝のリレー』

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by 2pinoko | 2006-02-18 17:07 | つらつら。
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