10年目

大変ご無沙汰しております。

仕事復帰してまったく余裕のなかった半年間。
世の働くママというのは本当に大変ですね。
何だが、生きるのに必死な数ヶ月だった気がします。

まほろま。を始めて実は10年半になります。
こちらに移動してからは8月で丸9年でしょうか。
組織と骨のスケッチに泣かされていたころからもうそんなに経ったかと。
毎年8月には「まほろま。」●周年に思うこと なんてのを書いているのですが
今年は以前から思っていた以下の2点について綴ってみました。
もう9月ですけれどね。

・女性医師の出産について
・保育園に通う子どもはかわいそう?




【一女性医師の出産】
私の場合、異動前から妊娠していることが分かっていました。
悪阻で体調不良が続く中、通勤に2時間もかかるような病院への異動が決まったことについて
前の職場の看護師さん達は憤慨していましたが
医局人事とはそんなものです。
私が抗議すれば何か違ったのかも知れませんが
わかった上でのこの人事なのですから・・・何も言えませんでした。

私のように医局人事にのっかっている若手の医師は
数か月~1,2年で異動となります。
そのたびに健康保険が変わり、給与も変わり
時には常勤で働けたり、病院によっては非常勤勤務だったり
コロコロ変わるのでそれに伴う手続きは毎回大変面倒です。

小児科という科の特性上、女性医師が出産や産休・育休を取得する際に否定的なことを言われることはありません。
「どうぞ好きなだけ休んでください。そして、好きな時に復帰してください。」
そうは言うものの、産休に入っても自分のポストを空けて待っていてくれるわけではありません。
自分の代わりの医師を補充するために、産休=退職という扱いになります。
そのため夫の扶養に入ることになるので、出産一時金は夫の健康保険から支給してもらうが、「扶養家族」であることから、もちろん休み中の手当や保証はない
というのが、今まで出産されてきた女性医師の流れでした。

しかし私の場合、そうするわけにはいきませんでした。
事情があって夫が働いていないため、夫の扶養に入ることはできませんでした。
産休=退職では困るのです。
健康保険の任意継続では出産一時金の支給は受けられず(勤続月数が足りません)、産休や育休中の生活の保障は何もなく
どうしたらよいものかと途方にくれました。
女性の医師がこれだけ増えてきている中、働く女性として出産や育児に関する「制度」を利用できない方がほとんどで
しかもそれが当たり前になっていることに疑問を感じました。
医局にいればそれは仕方のないことなのでしょうけれど・・・・。

結局、異例ではありましたが
私は退職ではなく、現在勤務している病院で「産休」をとることができ、ほんのわずかな「育休」を取得して、仕事に復帰しました。
常勤ではないのでお休み中はもちろん無給でしたが、健康保険を継続出来たお蔭で一時金や手当金の支給もあり、かなり助かりました。(育児休業給付金は勤続月数が足りず受給できませんでした)

女性医師が増えているため、復帰後当直が出来なくなるケースも増えています。
そんな中、当直やオンコールに支障が出てくると文句を言われ
それでも女性の出産や育児に寛容であるとアピールする医局の姿勢に、うんざり。
復帰後の働き方とか、環境とか、まるで整っていないのですが
これで「女性に優しい環境」だと思っているのですから・・・・・。
復帰後すぐ当直の復帰をお願いされましたが、さすがにそれは断りました。
夜間数回授乳が必要な時期なのに、当直が可能だと簡単に思ってしまうあたり
自分たちは忙しく働いて、子育ては配偶者に任せきりにしてきた男性の発想です。(小児科医なのに・・・)
そんな人たちが考える人事や労働環境が、本当に「働きやすい」わけがない。
何もかも、ぐったりな妊娠・出産でした。
比較的妊娠・出産に理解のある小児科でこれですから、他科ではもっと大変なのでしょうね。

そもそも大学病院に勤務していれば完全に無給ですし、「産休」自体とれる立場にいないので、私は恵まれていたのだと思います。(といったら、それが当然なんだから恵まれているとか思っちゃいけないと非医療関係の友人に怒られましたが。)

子育てをしていれば何もかも許されると思っているわけではありません。
こちらも周りに迷惑をかけることは大変心苦しいのです。
でも、女性医師が増えてきているなか、周りでサポートするしかないし
出来るような環境にしていかなければならない。
全く環境が整っていないマンパワー不足の中、子育て中の女医が復帰したら
そりゃ無理も生じます。問題も起こります。

復帰後も往復4時間弱の通勤時間は変わらず
朝は5時台に家を出る生活に慣れるには時間がかかりました。
世のママは皆そうなのでしょうが、家に帰ればそれだけでぐったり。
私は無理をしましたが、今後産休・育休から復帰する後輩は
もっと働きやすい環境で復帰できればいいなと思います。


【保育園に預けられたこどもはかわいそうなのか】
産休中も復帰はいつからかと催促の電話やメールが続き
早々の仕事復帰をすることになってしまいました。
そんなわけで、わが子の預け先を探さねばなりません。
しかし、これが大変。
待機児童が問題になっていますが、保育園に入れるためのママたちの努力はすごい。
認可保育園というのは日中育児のできない理由や家庭環境などにポイントを付け
その合計ポイントが高い順に入園が決まります。
そのため事前に情報を集め、行動し、ポイント稼ぎをするのだそうです。
「保育園に入れないなんて、そもそもママの努力不足。きちんと事前調査して、対策すれば入れないなんてことはないのよ。」
と言ってのけるママもいるんですよ。
もーそれきいて、私は「は!?」と思ったわけですが。ついていけないわ~
普通に必要書類をそろえて提出するくらいしか私にはできませんよ。

認可保育園の申し込みは書類が多く、これまた大変面倒だったのですが
きっと無理だろうなぁと思いながらいくつかの園の申し込みをし
案の定すべて入園不可でした。
それを見越して認可外の保育園に事前に入園申し込をするようなので
4月入園の希望で1月から探しましがた、全滅。定員15名のところキャンセル待ち60人と言われ、まったくやる気をなくしました。60人て・・・・。
あきらめかけていた所に、1月末から募集を開始する保育園を見つけ、2次募集で運よく認可外保育園に入園が内定しました。
うちは運が良かっただけなのですが、本当に世のお母さんたちは大変なのですね。

息子を生後3か月で預けることに、抵抗がなかったわけではありません。
感染のリスク、日中授乳できないこと、子供との時間が少なくなること・・・
もちろん不安はありました。
でも、保育園って中途入園は難しいんですよ。
大抵4月で定員が埋まるので
申し込みしても、空きが出るのを待たなくてはなりません。
いつ入園できるかわからない=いつ復帰できるかわからない では困るのです。

よく、お母さんたちに「いつから保育園に預けてもいいんですか。」と聞かれます。
「早くから保育園に預けるのは風邪とかもらうし怖くて・・・・」
じゃあ、いつからだったら安全なのでしょうか。
6か月?10か月?1歳になったら?
いつだって感染のリスクはあり、絶対安全な時期なんてありません。
保育園に通い始めて1か月近くは感染を繰り返し、まともに通園できない子供は多く
そんな子供たちを外来で診ている身としては
「いつだって結局同じ」です。

もう熱が出たら入院してもらえばいいやと、子供を保育園に通わせることにし
私は仕事に復帰しました。

保育園に預けてよかったこと。
・息子は、自宅にいるより遥かにたくさんの刺激を受けているのがわかります。子供の社会性発達に大いに影響を与えています。
・自宅では育児だけをしているわけにいかないので、彼の発する信号をわかっていながら相手にできないことも多々あるのですが、保育園ではすぐに反応し、対応してくれます。
・家庭、育児、仕事にメリハリが付くこと。私自身が気持ちを切り替えられることで育児のイライラをぶつけたりすることもないですし、一緒にいる時間を大切にするようになりました。

だんだんと、預けてよかったと思うようになりました。
そして、息子は熱を出すこともなく、いつもご機嫌で元気です。
ママ想いだなぁ、私の移行抗体がなくなったであろう今でもとても元気な息子に助けられています。
そして、夫にも感謝です。
保育園の送り迎え、料理・洗濯。忙しい中、彼が育児も家事も手伝ってくれるからこそ、何とか仕事が出来ています。

保育園に預けていることに対して、たくさんの人に「かわいそうに」と言われてきました。
電車で一緒になったおば様、散歩で出会う奥さん、そして実母やお義母さんにも。
「保育園なんかに預けて大丈夫なの?」
「まだまだお母さんの手元にいる時期なのに」
「幼稚園までは親元にいるものでしょう?」
皆一様に声のトーンを落として、顔をしかめていうのです。

「保育園に預けられてかわいそう」
本当にそうですか?少なくとも、私は息子のことをかわいそうだとは思いません。
多くの家庭とは違ってママと一緒にいられる時間は少ないかも知れませんが
私に申し訳ない気持ちはあるものの、彼が不幸だとは思っていません。
朝起きてから登園するまではパパが一緒に遊んでくれ、
保育園で多くのことを吸収し、
私が帰れば満面の笑みで出迎えてくれる息子をみて
そうかそうか、今日も楽しく過ごせたのね と嬉しく思います。
働くママの姿を誇りに持ってもらえるように
我が家は我が家の子育てをすればいいと思うようになりました。

幼稚園まで子供を集団保育には預けない、専業主婦として子供のために家にいる。
そういう家庭もあります。それも良いと思います。
人の子育てに口出しする輩は多いですが
とやかく言う人は大抵皆無責任な発言をするものです。
実際に子どもに向き合うのはパパとママです。
子どものことを一番愛し、理解しているのもパパとママです。
色んなスタイルがあって、その家庭に合ったやり方で子育てしていければよいのです。
よく外来で育児相談をされるのですが、
そんなお母さんたちには「正解なんてありません」とお話ししています。
そのお子さんに合った方法を一緒に考え、アドバイスし、試行錯誤してもらう。
どのお母さんも必死です。

「人の子育てを笑うな。」

どこかで見たセリフですが、まったくその通りだと思いました。



以上、ママデビューをして数カ月。
私の思うこと。
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by 2pinoko | 2014-09-16 19:15 | つらつら。
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