くにちゃんのこと。

こっからさき どう歩く。

時々あたしは歩き方を忘れる。
忘れたふりをすることもある。
あたしはずるいから周りを気にして様子を伺って 
さもオリジナルのように振舞ったりする。
でもどうにか歩くことをやめなかった。
恐る恐る手と足を出して 引っ込めて また出して
いくつもの取捨選択を繰り返し決断を下した。
それはこれからも変わらない。終わらない。

またいつもの別れ道。
どちらもまだ先が見えない。

あたしはこれからどう動く。







くにちゃんを思い出す。

自分を変えた あの瞬間。
変えたといったら大げさだろうか。
でも確実に自分の中で音がきこえたんだ。
ぽんって。
種から双葉が出てくるようにさ。



最近私が拝見させていただいているeclipsetedさんの日記on 4歳の快挙をみて。

あたしには「くにちゃん」だった。

これは小学校に入学したばかりの話。
毎日がどきどきで 1日が長かったあのころ。
時間の流れを感じ懐かしむことなどなかった 駆け引きなんて知らず
周りに存在するものすべてを遊び道具にすることが出来た 6つのころの話。

小学校ではまず席が決められた。
1号車
2号車
3号車
あたしとくにちゃんは1号車。
しかも1班。
すぐに仲良くなった。
やんちゃなくにちゃん。悪ガキくにちゃん。
給食の時間は毎日ライダーごっこをして遊んだ。
悪者はいつもノリダーだった。

給食が終わるとね、お掃除の時間があるんだ。毎日ね。
1年生のころは給食食べて お掃除して サヨナラだった気がする。
そのお掃除の時だったんだ。

その日1班は教室掃除だった。
黒板を掃除する人:1人。
箒で掃く人人:1人。
床をからぶきする人:2人。
流しを掃除する人:2人。
流しを掃除したのがあたしとくにちゃん。
小学校低学年のころの流しって 何であんなに汚くなるんだろうね。
食べかすとか パンの空き袋とか
とにかく汚かったんだ。
排水溝をあけてね、網に詰まった汚れを落として
ふたも洗って 周りをきれいに片付けて
流し掃除のお仕事おしまい。

だからあたしは流し掃除が嫌いだった。
キタナイキタナイ サワリタクナイヨ。
ふとくにちゃんを見るとさ、くにちゃん 何のためらいもなく素手で詰まったごみを取り除いて
排水溝のふたを開けて もくもくと掃除をしていたんだ。
いつもやんちゃでうるさくてガキ大将だったくにちゃんが
文句ひとつ言わず汚い臭い流しのお掃除してたんだ。

たわしも ごみも 排水溝の網も
指でつまんで 眉間に皺寄せて掃除していた自分が急に恥ずかしくなった。
恥ずかしい
恥ずかしい
あたしきちんと掃除する気すらなかったんだ。
6つの子供を形容するにはなんだかおかしな気がするけれど
あのときのくにちゃんの真摯な姿にあたしは衝撃を受けたんだ。

あたしの中で 音がした。
ぽんっ。





本当に些細なこと。
特別でもなんでもないように思われるそれが
あたしにはでっかいでっかい出来事だったんだ。

うまく言えない。
うまく言えないけどあたしがこうやって選択を迫られ
背後に広がる可能性を紡いでいこうとするとき
決まって「くにちゃん」の背中が思い出される。

今まで、この「くにちゃん」経験は幾度となくあった。
でもやっぱりあたしには「くにちゃん」なんだ。

あたしのいい加減で怠惰な気持ちを諌めてくれるのが
くにちゃんなんだ。

それでその先をいつも考える。













あ~あ
言っちゃった。

だぁれにも言った事 なかったんだけどな。
くにちゃん 今何してるんだろう。
悪がきだったくにちゃんは 中学に上がるとキタナイ言い方すれば「ムカつくやつ」になり
あたしはいつも彼に腹を立てていた。
だから絶対くにちゃんにこのことを教えてあげない!って決めてたんだよね。
まぁくにちゃんがこの文章を読んでなんかいないだろうけれど。


でも
いつかまたくにちゃんと会うことがあったなら
伝えてもいいかな。
こんなことがあったんだ。
あたしの思い出なんだ。
その思い出にはくにちゃんが大きく存在していたんだ。
多分ね、それで今のあたしがあるんだ。








   

   
   寒い寒い。
   こんな夜はクマさんのちゃんちゃんこにあっためてもらおう。
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by 2pinoko | 2005-10-05 00:08 | つらつら。
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