できること・できないこと

いつもより30分早く家をでる

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いつもより遠回りして病棟へ向かう

この季節が一番好きだ




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未明。

PHSが鳴る。
レートが落ちてきたと看護師がつげる
急いで病棟へ向かう、カーテンを開ける
Vitalを確認する、オーベンに連絡する
胸の音を聴く、ただ隣で見守る。
DNR(Do not resuscitate)にはなにもしない、できない。
私はゆっくりと部屋を出る。

自分で決めていたこと。
担当の患者さんのお支度は必ず自分も手伝うということ。
お化粧は私がさせていただくということ。
看護師さんと一緒に化粧道具を揃えた。
私の化粧ボックスよりよっぽど充実している。
お着替えとお化粧が大方おわるとご家族をお呼びする。
「一緒にお化粧の仕上げをしてあげませんか。」

覚悟しておいてください。
そう告げてはいても
故人の着替えや化粧道具にまでご家族の気が回らないのは当然のことで
ああ、お気に入りの紅を持ってきてあげればよかったねと皆さん言う。

お支度が終わるとナースステーションに戻って私の最後の仕事
退院許可を出す。
「退院許可  転帰:死亡による」
これが一番嫌い。

この2か月の間科で亡くなった患者さんは全て私が看取った。



もし母の最期を病院で迎えるようなことがあれば
素敵なお着替えと化粧道具を用意しておいてあげよう。
そう思った。




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気がついたらまたひとつ歳をとっていた。

救急当直で診た子の病室を覗きにいったら
「おねーさん」
と言われ、一瞬誰のことだか分らなかった。
21歳の女の子、私よりも大人ぽいくらいと思っていたのに
その子の目からすれば私は「おねーさん」

そんな気はしなくても確実に歳はとっているようだ。


つまらない大人にはなりたくないのに
口からこぼれる愚痴はまさにそれで
上を見上げてはぁと大きくため息ひとつ。

子供のころは虹色のウサギになりたかったし
サンタさんのお嫁さんを夢見たことも、宇宙飛行士になりたいと思ったこともあった。
何にだってなれる気がしていた。
こうやってまた1つ歳をとって
今度は何になりたいんだろう、私は。

毎日ケラケラ笑いながら病院中を走り回って
夢・模索中。
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by 2pinoko | 2009-05-21 23:34 | 出会い。
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